治療打ち切りについて|谷津
症状固定について
むち打ちや交通事故のケガに対する治療費が打ち切られる事を「症状固定」と呼ぶのです。
症状固定といったケースを整理しましたのでお役立てください。
・完全に怪我が治癒していない場合でも医療費の打ち切りはあります。
・医療費が打ち切られるということは、後遺障害認定がスタートする。
・症状固定の時期は、症状次第で決まり、一律に決まるものではない。
「いまだに痛みが残存しているにもかかわらず・・・」といった際に交通事故でむち打ちになった患者さんが整形外科の先生から、「これからそろそろ自賠責を使った治療をおしまいにしていきましょう」と言われたそうです。
その一方で、「患者さんはまだ頸に痛みが残存しているというのに・・・」とドクターの言葉に不満を持ちました。
症状固定というのはどういうこと?
整形外科の先生の判断はどういったわけなのでしょうか?
自賠責保険においての治療法の終了時期を「症状固定」といいます。
この症状固定の定義は
「ケガが十分に良くなっていなくても、傷病の様子が安定し治癒してこれよりもっと改善しない状態を治癒、症状固定ととります」
(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労災保険」より引用。自賠責保険は労災に準拠しています)
というものになります。
例えば、むち打ちによる急性症状は治しました。
しかし頸に痛みが連続していて、治療をうけるとその時だけ痛みが軽減されますが、治療から何十時間後再び数日後にほぼ同じ痛みが連続し、この状態が1か月続くようなケース、症状固定と評価されます。
症状固定と評価されるとどんなふうになるか?
症状固定と評価されますと、今まで自賠責保険から支払われていたケガの医療費の支払いが終わります
。
その後、症状が残存のケースだと、医師が作成する「後遺障害診断書」の作成を申し入れすることになります。
この診断書をもとに後遺障害の認定のお手続きに入ります。
ですから、症状固定とドクターに言われた患者さんの頸の痛みに対して後遺障害診断書が作成され、後遺障害と評価されれば後遺障害の等級に見合った補償額が支払われるのです。
ここで注意してほしいのは、「自賠責保険からの医療費が打ち切りになると、この先治療が受けられなくなる」と言われる方がいますが、自費(患者さん自身の健康保険を使用して)で、事故場合と同じ治療を受けるということは可能です。
症状固定と考えられるタイミング
損害保険会社の中には、「DMK136」という治療期間の基準があるようです。
具体的に、どういうものかといいますと
「D」は打撲で1か月の医療費打ち切り
「M」はむち打ちで3か月の医療費打ち切り
「K」は骨折で6か月の医療費打ち切り
といった内容のものとなります。
むち打ち症ならばすべて3か月で打ち切りとなるのでしょうか?
仮に、うなじにいくらか鈍い痛みや首の筋肉の張りがあるけれど日常生活動作に別に支障がないくらい軽いケースは、1か月くらいで打ち切りということになります。
そして、頸を動かすとつらい、横になっているとつらい、頸や上肢を動かせない、気分が悪い、上肢が痺れたような印象があるとされる中程度のむち打ち症に関しては、3か月くらいが打ち切りのめどだと考えられます。
頭痛や吐き気、眩暈、頸やうなじにつよい痛み、頸、上肢、肩が動かせない、痺れがある、MRI画像で異常所見の見られるといったむち打ち症として重症のケースだと、症状固定に6か月といったケースもあります。
まとめ
こういったように、むち打ち症の症状固定タイミングは症状や他覚的所見の有無により違ってきます。それは患者さんが痛みを訴えても他覚的所見が不足していることが多く、症状のレベルが認識しにくく評価が難しいケガであるからです。
すなわち、個々の症状により症状固定時期が違って、「DMK135」のとおり一律に決めることができるものではありません。