自動車事故・交通事故の過失割合・過失相殺の算定
過失相殺に関して
まとめ
・過失相殺というのは、賠償金を公平に分配するためである
・過失相殺される金額については、過失割合で決まる
・過失割合は、判例をまとめた過失相殺表がある
・過失割合は、事故の当事者間の話し合いが必要になる
・任意保険と自賠責保険で過失割合の適用が変わる
過失相殺ってなんでしょうか?
車同士の交通事故のケース、加害者が一方的に全部わるい、被害者が交通事故の責任についてまったく負わないというのは、とてもまれなことになります。だいたいの場合は交通事故は加害者、被害者の両方に交通事故が起きた原因(過失)があるのです。
被害者にも交通事故の原因があるのに、責任をすべて加害者が負うのは不公平です。
ですから
両者の事故の責任についての割合(過失割合)によって受け取れる賠償額を減らすことを過失相殺と呼びます。
例をあげると、AさんとBさんで車同士がぶつかる交通事故のケース
Aさんはむち打ちになり30万円の整形外科の治療代金が損害として生じました
Bさんもむち打ちになり70万円の整形外科の治療代金が損害として生じました。
Aさん、Bさんの過失割合が60対40(Aさん60%、 Bさん40%の過失のケース)です。
Aさんは、Bさんに対し 70万円×60%=42万円
Bさんは Aさんに対し 30万円×40%=12万円
この金額を両者は支払う義務があります。
過失割合はどうやってきまる?
過失割合については当事者間の話し合いで決定します。
過失割合は加害者、被害者に両者にとって重要なものになってきます。
例をあげると
被害額1000万円だった時は過失割合が20%異なると、加害者の支払額が200万円、被害者の取額が200万円変わってきます
ですから過失割合は公平に決める必要がでてきます
そこで、当事者間の示談においては、過失相殺表が使用されます。
過失相殺表というのは
・事故の当事者同士(四輪車対四輪車、四輪車対単車など)の分類
・事故態様(出会い頭事故、追突など)からの分類
・事故発生場所(交差点、高速道路など)からの分類
などの典型的パターンを図表化したものになります。
この表に事故の状況をあてはめて過失割合をだしていきます。
この図表は
東京地裁民事第27部が公表している
・「民事交通訴訟における過失割合率の認定基準」(判例タイムNo38)
財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編
・「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(「赤い本」)
財団法人日弁連交通事故相談センター
・「交通事故損害賠償額算定基準」(「青本」)
が使用されています
任意保険と自賠責保険では過失割合の適用は異なるってほんと?
過失割合については、自動車保険すべてが適用になりますが、任意保険と自賠責保険では適用がことなります。
任意保険は、総被害額に過失割合をかけて支配金額が決定します。
このとき過失割合は5%であっても過失相殺します。
例をあげると
CさんとDさんの車同士の交通事故で、Cさんに100万円の物損が出たケース。
Cさんに5%の過失があったとすると
Cさんの受け取れる額は
100万円×95%=95万円
になります。
ですが、自賠責保険は、被害者の救済が目的になるため、原則は過失相殺をおこないません。
そうすると、被害者が
・赤信号を無視して衝突した
・センターラインオーバーをし、衝突した
・泥酔して道路に寝ていたところを車に轢かれた
・標識で横断禁止されている道路を横断し車に轢かれた
というケースの場合に被害者の過失割合が大きくても被害者が保護されるっておかしくないですか?
ですから
被害者の過失が大きいケースにおいては
怪我なら
損害額から20%減額
死亡・後遺障害なら
・被害者の過失が70~80%未満 損害額から20%減額
・被害者の過失が80~90%未満 損害額から30%減額
・被害者の過失が90~100%未満 損害額から50%減額
となってきます。